初めまして、今回よりブログを担当することになりました、INEIコンセプトアーティストの大曽根純です。

これから「コンセプトアートの事をもっと知りたい!」、「コンセプトアーティストになりたい!」という方に向けて情報発信をしていきたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いします。

私自身は海外でコンセプトアートを勉強した後にINEIに入社しました。私が勉強していた時は、コンセプトアーティストになるために必要な知識や技術を集めるのがとても大変でした。例えばポートフォリオ作りにしても、直接プロの方々に聞いてアドバイスを貰ったり、海外のチュートリアルをたくさん探して情報を得るしかなく、それだけ時間と労力が掛かりました。その為、これからコンセプトアーティストになりたいと思っている人に少しでも何か力になれないか?ということを考え、今回ブログを始めさせて頂きました。

それまでに得た経験と知識や、INEI代表の富安に言われたことなども含め、情報をシェアしていけたらと思います。コンセプトアーティストに興味がある方々の参考になれたら幸いです。

まずはポートフォリオ制作について、全6回に分けて書いていきたいと思います。

コンセプトアーティストになる為には、自分の実力をアピールする為の作品集が必要です。そしてそれを作ることはコンセプトアーティストを目指す人にとって最初の難関かもしれません。

なぜなら、プロとしてのある程度のレベルが求められる為、キャリアが無い駆け出しのクリエイターにとっては、ポートフォリオひとつですべての評価が決まると言っても過言ではないからです。もちろん人によって作品のテイストは違いますので、今回ではポートフォリオを作る上でのルールや組み立て方、さらにはレジュメの書き方までをお話ししていきたいと思います。

第1回 ポートフォリオの目的とルール
第2回 ポートフォリオにおける作品選びの注意点
第3回 ポートフォリオの組み立て方
第4回 ポートフォリオをデザインする
第5回 レジュメ・カバーレターの作り方
第6回 まとめ

第1回 ポートフォリオの目的とルール

ポートフォリオ(作品集)の目的は、相手に自分の実力を知って貰い「この人にプロジェクトに参加してほしい!」、「是非うちの会社に来てほしい!」と興味を持って貰うことだ思います。

例えば希望しているゲーム会社のアートディレクターに、自分がどんなデザインが出来て、どんな種類のテイストで、その会社のプロジェクトにどう貢献出来るかを上手にアピール出来たら、仕事に繋がるかもしれません。その為、ポートフォリオに加える作品ひとつひとつに全力をかけ、時間をかけてじっくりと組み立てる必要があります。

①形式について

ポートフォリオの形式としては、オンラインとPDF両方作っておくと便利です。

オンラインポートフォリオの良い点は、 作品のクオリティアップや修正をその都度簡単に行えるので、常に最新を維持できることです。オンラインに作品を載せる場合、自分のWEBサイトを1から作っても良いのですが、作品投稿サイトを利用すると時間をかけずにに作ることができます。
例えばARTSTATIONというサイトでは、独自ドメインで自分のWEBサイトを作れるサービスもあるので参考にしておきましょう。

PDFに関しては、目当ての会社に合わせてポートフォリオをカスタマイズする時に使うことができます。
例えば複数の会社に応募する際に、それぞれに合わせた作品を載せることで、よりフォーカスしたポートフォリオを作成できます。

また会社によっては作品をファイリングしたものを郵送のみで受け付けているところもありますので、各会社のリクルートページをよく確認しておくことが重要です。

②枚数について

ポートフォリオに加える作品数については、一番迷う所かもしれません。

これも特に正解はなく、プロの方々のポートフォリオを見ても皆それぞれ違います。つまり大事なのは量ではなく、質ということです。

今まで努力してきた訳ですから、自分が作った作品全てを載せたい!という気持ちは分かるのですが、それはやめておきましょう。その中に一枚でも妥協した作品が混ざっているならそれは載せるべきではありません。覚えておくことは、見る側はあなたの一番クオリティの低い作品に標準がいってしまうということです。

例えばパースの狂っている作品を載せてしまうと、第三者からは、「この人はパースの狂いを見抜けない人なんだ」というイメージがついてしまいます。その為、載せる作品の数は絞りに絞り、本当に良い作品だけを集めましょう。

目安としては、『最新・最高の作品10枚』を基準に考えるといいかも知れません。私の経験だと、納得のいく作品が10作品仕上がると、それを基準に新しい作品を加えるか、クオリティアップに集中するか決めることが出来るようになりますし、自信にもつながります。

次回は、ポートフォリオにおける作品選びの注意点について書いていきたいと思います。

文/ 大曽根 純